彼は、理想の tall man~first season~
「すみませんでした――色々と気を遣って下さって」
「いや、言われるほどのもんじゃないから」
「でも、」
「それなら、俺の方が謝らないといけない気がするけど」
「っ、どうしてですか?」
「嫌な気にさせちゃったんじゃないかって」
「えっ?」
「例えば、女子高生とか?」
「――あ! あれは、確かに衝撃的でしたけど、ピアノ弾くには丁度いいかなと思って。それに、いもジャーでなくて良かったなというか」
「本当に大丈夫? 無理してない?」
「してない、してないですよ。本当に大丈夫です!」
「そう?」
「はい。逆に、面白そうかなーなんて」
笑ってそう言うと、少し安心してくれたのか、敦君は微笑んでくれた。
敦君が煙草に火を点け、私もバッグの奥底に沈んでいた煙草を取り出し火を点け。
漸くまともに吸った自分のそれに、少し血の気が引く感覚に見舞われ。
完全に体に悪いものだと、こういう状態に陥って痛感した。
父親も母親も吸わないこの煙草は、抵抗なく吸えてしまった代物で。
分煙時代に突入して、止められるのかは甚だ疑問だけれど――いつかは止めようと思うようになったのも事実。