彼は、理想の tall man~first season~

それにしても、本当にいい所だな。

ハイカーが居ないのが、不思議なくらいだし。

人の気配がないから、人目を気にせずに自然を存分に感じられる。

今迄、お酒か運動で気を晴らしていた生活だったから、私にはこういうのは物凄く新鮮に感じられた――。


目指していた展望デッキは、小高な山の途中の湖を見下ろせる場所にあり――

辿り着くまでは、ぐねぐねした峠道を走らないとで、ちょっとヒヤヒヤもしたけれど。

展望デッキから見えた景色は想像以上に好くて、見た瞬間にその焦りはどこかにすっ飛んでいた。


爽やかな風が抜ける度に、木々の枝と葉とが擦れ合い、涼風感を増す音を奏で。

視覚も聴覚も――それから澄んだ空気により嗅覚もリセットされる感覚。

リフレッシュするには、もって来いの穴場に感じた。


つい先日、梅雨入りしたばかりだから、湿度との戦いはこれからが本番。

早く梅雨とはおさらばしたいところではあるけれど、梅雨が明けたら明けたで、猛暑や酷暑に襲われるんだろうな。

そう思うと気分は滅入るけど。

ここは、梅雨入りした割には、それとは無縁な場所なんじゃと思わせる、爽快感があった。
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