彼は、理想の tall man~first season~

恋には消極的でも、10代の頃はそういう夢を見てしまっていたのも事実だ。


飲める人でも――ここでソーダ割りとか言われたら、ちょっとなぁ、とか思っていると。

「美紗ちゃんは普段どうやって飲んでるの? 合わせるよ」

力量試しをしていたつもりが、逆に試されるという事態に見舞われた。


自分のペースより、相手のペースで飲むのが、結構好きなんだよね――と。

中條氏は爽やかな笑みをこちらに向けた。


「そう、なんですか」

言葉を返しながら――この人、なかなかやるんじゃないかと思った。


「結構、お酒強いんですか?」

「どうかな・・・・・・それ自体、そもそもどこが強さの基準なのかって話じゃない?」

「・・・・・・そうですね」


あくまで見極めろということなのかと、自分なりに解釈した。

けれど――

「そこまで酒豪でもないけど、日本人として、恥はかかない程度には、飲めた方かな」

世界の酒豪でも相手にしていたのか。

グローバル感を漂わせる答えに思わず興味がわいた。


ただ、やはりそれ以上の興味を示さないように、そこでセーブしてる自分がいて、聞きたかったあれこれは、グッと喉の奥に引っ込めた。
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