彼は、理想の tall man~first season~

アンコールということと、当時女子高生の間で、絶大な人気だったバンドの歌は、そんなに盛り上がるという曲ではないハズなのに、映像を見ても判るくらい、観客側は変な盛り上がりを見せていた。

ギターやベース担当の先輩も、ケーブルの制限はあるにせよ、動ける範疇で、ステージ内を好きに動いていて。

ヴォーカルの先輩も、好き勝手に動きまわっていた。


先輩がメインヴォーカルだったけれど、私もハモる以外に、一人で歌う箇所もあったりで。

当時、この曲をやると決めてから、カラオケに通いつめてたっけ――なんて、懐かしく思い出していた。

そして、自分の歌声に違和感を抱きつつも、音を外していないことにホッとしながら、映像を見続けていた。

でも、落ち着いて見ていられたのは、大サビが終わるか否かの前までだった。


大サビ終わりの直前に、私にとって、寝耳に水とも思える映像が流れたのだ。


「え――なに、これ」


当時は、何とも思わなかった出来事で、記憶落ちしていても不思議じゃなかったのかも知れない――という感じではなくて。

見た事実は、想定していたものとは全く違ったものだった。
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