償いノ真夏─Lost Child─
夏哉の忠告に、真郷は黙って頷いた。
耳にはまだ、あの奇怪な笑い声がこびりついている。
まだ追い掛けてくるのではないか、そんな恐怖が、身体を支配している。
心配そうな夏哉に、真郷は平気を装った。
「……気を付けてな」
夏哉は別れ際にそう言って、片手を上げた。
その背を見送って、真郷は九郎を連れて深見の家へと急いだ。
そうして、家に着いて玄関の戸を閉めると、息をついた。
得体の知れないものから逃れた安堵に、力が抜けた。