償いノ真夏─Lost Child─
その瞬間から、真郷はもう、何も言えなかった。
祖母が否定してくれるのを、心のどこかで期待していたのかもしれない。
でも、その期待は見事に打ち砕かれたのだ。
「もうお戻り。ひどい顔をしているよ、真郷」
なだめるように言われ、真郷はおとなしくそれに従った。
洗面所で顔を洗って、鏡を覗けば、本当に祖母の言う通りだった。
「……まるで何かに取り憑かれてるみたいじゃないか」
蛇の腹のように青白い頬をなぞって、真郷は溜め息をついた。