わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 チュン――


 上体を元に戻す直前、ほんの一瞬だけれど、私の唇に田所のそれが触れた。


 え? わざと?
 今、田所、私にキスした?


 俯いていた顔を持ち上げ隣の田所を見上げれば、その横顔は至って涼しげ。

 気のせい?
 そんなバカな。

 不意打ち食らって、こっちはあり得ないほど心臓バクバクじゃないか。
 顔も燃えているように熱い。

 今、思い切り息を吐き出せば、口から炎が出るんじゃないだろうか。


 そして――

 きゅるるんが止まらない、どうしよう。


 そんな私の気持ちなんか、気に留めることもなく田所は、悲鳴を青空に木霊させながら疾走するスカイドラゴンを見上げて、

「すっげぇな。
 あー早く乗りてっ」

 と、独り言を呟いた。




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