わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 そうしたら彼は、フッと空気を漏らして自嘲するように笑うと、

「ごめん。
 あんたにはなんの罪もないもんな。
 悪いのはあいつだ」

 言いながら、一歩踏み出して私との距離を僅かに縮めた。
 至近距離で見詰められ、その突き刺さるような視線に痛みすら覚えた。

 恐い。

 無意識的に一歩後ずさる。
 と、彼もまた、一歩踏み出す。


 全身が激しく脈をうち、呼吸も乱れ始めた。

 余りの息苦しさに、堪らず踵を返して走り出そうとしたら、すぐに手首を捕らえられ、難なく引き戻された。
 身体もその反動でクルリと半回転してしまい、再び彼と間近で向き合った。

 振り解こうと、掴まれた右腕の肘を折って手首を持ち上げれば、彼はそれを握る手に更に力を込める。


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