わたしとあなたのありのまま ‥2‥
いつまでも、ここで、こうしていても仕方がない。
田所は今、部屋で一人、悲しみに溺れているに違いないけれど。
それでも田所は『会いたくない』と言った。
私は必要とされていないんだ。
帰ろう。
目をゴシゴシ両手で擦った。
濡れた頬も手の平で撫でて拭う。
やっぱり凹むな。
ゆきさんが亡くなったことも相当ショックだけれど、
大好きな人が落ち込んでいる時に、何もできない自分に、何もさせて貰えない自分に凹む。
ふと、足元に無残に散らばった百合が目に留まった。
なんだかとても可哀そうに思えて、その場にしゃがんで拾い集めた。