トランキライザー

「ちがっ・・・、違うの」

 必死に何かを否定している。

「何がどう違うの?あの体育会系の男に襲われたとでも言いたいわけ?」

 そう言うと彼女はまた黙った。いい加減にしてくれ。

「つぐみ。俺言ったよね?質問に一回で答えられないやつ、嫌いなんだよね」

「や、ごめん・・・なさい」

 答えれるなら、始めからそうすればいいのに。

「・・・で?あの男は何?」

 気まずそうに、涙を溜めたまま、彼女は話し始めた。
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