トランキライザー

 いやいや。・・・限界なんてとっくに超えている。

P.P.P.

 携帯が鳴った。

 ディスプレイを見るとつぐみの名前が表示されていた。

 一息ついてから、通話ボタンを押した。

「・・・もしもし?」

「あ、圭斗?あのね、今日どこかに遊びに行かない?」

 いつものつぐみの声だ。

「・・・いいけど。でも、今日は夜仕事だからそんなに長い時間は無理」

「そっか。うん、それでもいいよ」

 つぐみは明るい声だった。突き放すようにしか話せない俺とは違って。
< 96 / 186 >

この作品をシェア

pagetop