誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




するり、と…新様の手が私の腕から離れていく。


新様…、


『何で…?』

「ッ…、」

『あゆみんっ…?』


そんな風に、私を呼ばないで…ッ

蓋をしようと決めたこの気持ちが、溢れてしまうから。


「私じゃ、ないです…」

『え…?』

「私じゃないんですッ…!」


好き。

どうしてこの気持ちは届かなかったの。

ううん…違うね。

届けられなかったんだ。


『それ、どういう意味…?』

「っ……」

『何で…泣いてるの?』


知られた。

1番知られたくなかった涙を…。

理由の言えない涙を、新様に…。





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