【短編】未亡人の彼女と高校生の僕




しばらくして気がつくと、ハナさんの姿はなかった。


代わりに、狐がそこに1匹いた。


「耕介さん」


その狐がしゃべった。


声は、ハナさんだった。


僕は、わけがわからずただ立ち尽くしていた。


「これで、あなたのお父さんを許してあげる」


「え?」


「まさか、あのトラックが耕介さんのお父さんだったなんて」


狐の言葉に背筋がヒヤリとした。


「まさか……」


確かに、あの道路は秋になると事故が多い。


人間ではなく、動物の。


親父は、狐をはねたのか?


その狐は、ハナさんの、いや、この狐の旦那だったということか。


それならば、駐在さんが知らなくて当然だ。

< 14 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop