《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
どうやらこの建物全体が
事務所の物みたいだった。


瀬戸さんがスーツの
ポケットからカードキーを
出して、指紋認証もしながら
次々と進む先にある扉の
鍵を開けていく。



そして最後にたどり着いた
のは、教室1コ分くらいの
それほど広くない部屋。



あたしはちょっと拍子抜けした。



レッスンなんて言うから、
バレエとかダンスをする
ような鏡張りの広い部屋を
想像してたんだけど――…。



(ここって……?)



この部屋には、壁一面の
鏡はない。


でも、全身を映し出せる
くらいの、等身大の大きな
鏡ならあった。


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