ふるむーん【超短編】
星空



「嫌い」

「うん」

「大っ嫌い!!」

「知ってる」

「そういう所が…」

「大嫌いって?」

「ムカつくのよ!!」


いつも余裕そうな彼氏。
だから私も腹が立って言い返してしまう。

良く言われる。
中身と外見が反比例してるって。

でも、彼氏だって冷静なふりして以外と言い返してくるし。


「お前、ほんとに可愛くないな」

「…バカッ」

「え?」

「バカ」

「ちょ、萌?」


何故か涙が溢れる。
こいつにだけは、可愛くないと言われたくなかった。

こいつが私に言う「可愛くない」は心に響くし、こいつが言う「可愛い」も私には一番、胸に響く。


「だから、大っ嫌いなの!!」

「何、本気になって…」


佳祐に腕を掴まれる。
思いっきり振りはらって、それでもまだ涙は止まらない。


「今日は、もう帰る」


佳祐の家から飛び出る。
追って来れるはずがないのに、ちょっと追って来てと期待してる。




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