愛する人。


――――――――……
―――――――――――……




「彼は私の全てだった。

 あんなに穏やかに、静かに人を愛せるなんて……」



 蓮くんは後ろから私を抱きしめて


「もう、黙って」


 背中に、首筋に、キスを降らす。




「……俺を、感じて…」

「ん…っ」




 感じさせて。


 あなたを……





『彼』を思い出したこんな日は、一人なんだと思い知らされる。




 この瞬間だけで良いから……

 溺れさせて。



 あなたに――…




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