愛する人。





 蓮くんが馴れた様子で助手席のドアを開け、車から降りると、


「蓮さま、お帰りなさいませ。旦那様と奥様がお待ちでございます。

 どうぞ、こちらへ」


 恭しくお辞儀をすると、私たちの前を女性は進み、目の前の大きな木の扉を開けた。





「「お帰りなさいませ。蓮さま」」



 メイドの格好ではなく仲居さんの様な姿のお手伝いさんが二人、出迎えてくれた。



「お嬢様も、ようこそいらっしゃいました。

 お手持ちのお荷物を預からせていただきます。どうぞ……」


 最初に会った女性と同じ、濃紺の着物のお手伝いさんが大勢の中。一人だけ、グレーの着物の年配の女性が私の前に現れた。





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