愛する人。
* 1 *
12月、雪のちらつく灰色の空の下。
海岸沿いを歩く砂浜の足跡は、私だけ。
そりゃそうだよね。
こんな寒い中そうそう海には来ないよ。
家から電車で一時間。
海が見たくなり勢いで来てしまった。
時刻は13時。
人一人いない中で、私は海を眺めてる。
「……明日からどうしよう…」
呟いた言葉は
風と波の音にかき消された。
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