愛する人。
* 3 *
「――優子さん!」
声に振り向くと。
表情の無い蓮くんが居た。
「お…おかえりなさい!」
呼ばれて気付けば、すでに日は落ち部屋は暗い。
「ごめんっ 電気…」
電気を付けようと蓮くんの横を通り過ぎようとした。
「……優子さん」
不意に呼ばれて横目で蓮くんを見る。
やっぱり表情は無い。
暗闇のせいか、少し怖い。
「ごめんなさい。桜に見とれちゃって…」
苦笑いを浮かべながら蓮くんに答えた。
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