愛する人。
* 16 *





 久しぶりに全力で走ったせいか、心臓がドクドク激しく打ちつけて胸が痛い。




「…ハァ………ッハァ………」




 ―――私は玄関の前でしゃがみ込んでしまった。


 早く扉を開けなくちゃいけないのに。

 まだ夢心地で、心が追い付いていかない。







『―――なんで?

 どうして逢ってしまったの?』




 もう一人の自分が、私を責め立てる。




『忘れられてたのに――…』と。





< 407 / 440 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop