【短編】死者は黙して語らず
見ると、後輩も顔面蒼白になり

気のせいか、ブツブツ口元が動いている。



さすがの田中も、少し嫌な予感がした。


あれはヤバイぞ。



木村主任は全く気にする様子もなく、絡み続ける。


「お前なんていないほうが

会社のためになるんじゃないのかぁ?


なんならほかのヤツにも聞いてみようか?

なあ、細川ぁ?」



かわいそうに、声をかけられた細川先輩も

ただうなずくしかない。



強面で体格もいい木村主任に逆らえる人など

誰もこの職場にいないのだ。


まさに暴君。



10分後に会計しておいてもらおう。

田中は個室の内線を手に取る。


暴君を止めるには、それしかない。

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