Adagio
下駄箱で靴を履き替えている最中も思考はぐるぐる巡る。
駒田と別れてから普通科棟を探してみたけれどそれらしい人はいなかった。
また明日出直すか…。
「それでよ、その後…」
「ギャハハ、ありえねー」
ちらりと視界に入ったのは、派手なメッシュの入った見覚えのある髪。
俺より遥かに高い背丈で、友達さえも見下すようにしゃべっていた。
その視線が、すぐ後ろで靴を履き替えていた俺に移る。
「…あれ?アンタ、もしかして…」
一瞬口ごもった後友達に先に帰るよう促し、そいつは目に眩しい配色の髪を掻き分けた。
髪の毛の一本一本が擦れる度に光が反射して、思わず目を細めてしまう。
「アンタがリーチって奴?」
重い唾液が喉の奥を無理やり通って行く。