Adagio


しばらく顔をしかめて考えてたリーチが、ゆっくりこっちに振り返る。

「そう言えば、行きたい所があったんだ。そこ行かないか?」

「え?いいけど…」


隣に並んで歩くのが妙に恥ずかしくて、リーチのちょっと前を歩く。

あぁ、アタシってなんてかわいげのない女。
せめて後ろを歩いたら、リーチが気にかけてくれたかもしれないのに。


案内された通りに歩くと、かわいいカフェが見えてきた。

そんな所にリーチが入るわけないと思ってたんだけど、

「おい、通り過ぎてるぞ。ここだよ」

「え、だってリーチ…」

リーチの顔を見て笑いそうになる。

真っ赤な顔しちゃってさ。
そんな顔してたら、せっかくの計画もばれちゃうよ?




「奏の誕生日だろ、今日は」


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