キミは嘘つき蝶々
「……ダサ眼鏡」

思わず声に出して呟いてしまい、慌てて口を押さえる。

廊下の窓から差し込む光を背に、森口が立っていた。

眩しさに片目を細めながら、俺は身体を起こし、彼女に向き直った。

「何やってたんだよ?」

少し責めるように言うと

「え?あ、あの?」

森口は訳がわからない様子で、キョロキョロと辺りを見回した。

周りに誰もいないことを確認し、ようやく俺の台詞が自分に向けられていると理解したらしい。

彼女は困ったように眉をハの字に下げた。

「あ、あの、坂下先生に配布プリントの仕分けを頼まれて………」

「なんで、森口がそんなことしてんだよ。
週番は美佳と立木だろ?」

「あの、二人とも用事があるって言ってたので、私が代わりに……」

「あほか!
そんなん嘘に決まってんだろ!」

決め付けて怒鳴ると、森口はオロオロと鞄を抱きしめて俯いた。
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