キミは嘘つき蝶々
「別に俺は困んねーし
お前もいちいち俯かないで、堂々としてればいいんじゃね?」

「……でも、私と片桐くんでは人種が違うというか」

「差別かよ」

「え?
いえ、片桐くんじゃなくて、
私が……」

「勘違いしてるようだから言っとくけど」

戸惑ったように言いかけた、森口の言葉をさえぎって、オレは彼女を見た。

「俺は美人を連れて歩くのがステータスだとは思ってねーから」

自分の価値を、連れや持ち物で決められるなんて馬鹿げてる。

「何故なら
俺自身がステータスだからだ!」

親指を立て、

バーン!

と効果音がなりそうな勢いで言い切ると、森口はぽかんと口を開いて俺を見た。

「………そ、そうですか」

なんだ、そのイマイチ薄い反応は?

むっとして唇を尖らせる。

森口は眉を下げて

「ぷ」

と吹き出した。

「片桐くんて意外と面白い方なんですね」

言いながら彼女は笑いを堪えるように、肩を揺した。



…………おい、

今の言葉のどこらへんに笑いのポイントがあったんだ?



ぶすっとしながらも、俺は森口を横目に見て、頬を緩めた。

「笑ってんじゃねーよ」

わざと不機嫌な声をだして、顔をしかめる。
< 37 / 130 >

この作品をシェア

pagetop