恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】



いない………


ここも………



いない。




なんでこんなに広いんだよ!


「クソッ………」

ドン!


壁を殴り溢れる苛立ちを少しだけ発散。



見つからない………


まさか男に………



そうなっていたら最悪だ。

やっと笑えるようになったのに。
俺を信頼してくれるようになったのに。


クソッ………珠莉!




だんだん人影が無くなってきた。

戻るか?
いや、珠莉のことだ。
こっちに来てる可能性もある。




「なんなのよ!
もう十分でしょ!!」



先に進むと聞こえてきた、叫び声。



この声は珠莉だ。
見つけた………



けど、誰といる………?




そう思って声のする方に向かった。




角を曲がって見えた珠莉の姿…………と一人の男。



男は珠莉の首筋に顔を埋めていた。









< 328 / 431 >

この作品をシェア

pagetop