恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】


「――いらっしゃい」


お店のおじさんは目が合うと、そう言ってきた。



わたしはおじさんに少し相槌をうってから、お店の中を見渡した。




カウンターに一人、テーブルに二人しかいなかった。


しかも多分ここで見た事のある人ばかり。



よかった、やっぱり少ない。



わたしはカウンターのいつもの席に腰を下ろした。


奥から3番目の席。


「今日もいつもの?」


「うん、お願い」




おじさんはいつもわたしが同じ席に座って、同じ物を頼むから、わたしの事を覚えてくれたらしい。







< 35 / 431 >

この作品をシェア

pagetop