雨宿り
今日はホワイトデー
放課後に
「美桜」
「うん?」
「これから家に来てくれるか?」
「渉ん家へ…うん、別にかまへんよ」
「ん。じゃあ行こ」
「うん」
学校を出て一路俺の家へ
鍵を開けて
「あれ、叔母さんは?」
「今日はアクセ教室。もうすぐ帰って来る。どうぞ」
「お邪魔しま~す」
リビングに行き
「ほな俺着替えて来るわ」
「うん。お茶の支度しとこか」
「あ、頼む」
俺がいいひん時でもおかんにお菓子の作り方とか教えてもろてるし、勝手知った何とかで何処に何があるか今では分かってる。
急いで着替えを済ませ
「紅茶入ったよ」
「うん、リビングに持って行っといて」
「うん」
俺は冷蔵庫を開け
――
―
「美桜」
「うん?」
「これ」
「わぁ~ケーキやん。叔母さん焼いてくれはったん?」
「残念でした」
「えっ?」
「美桜、これホワイトデーのケーキ」
「えっ?」
「おかんに教えてもらいながら俺が作ってん」
「えっ?」
「そやから見栄えは悪いけど…味はまぁまぁやで」
昨日おかんにボロクソに言われながら作ったケーキ。
美桜の手作りチョコレートとマフラー のお返しにはこっちも手作りがいいん ちゃうかなと。