雨宿り
「委員長」
「うん?」
「あ、あの…お願いがあるねん」
「何?」
まだ顔を赤う染めたまま
「あ、あんたやのうて、な、名前で呼んでくれへん?」
へっ、名前でか?
私…呼んでへんかった?
「うん、ええよ。時枝君」
――
―
へっ?
何か間違った?
天を仰いでるし
「委員長」
「はい?」
「下の名前で呼んで」
私の頬に手を滑らせる。
意識が、その手に…
「委員長」
なんか…い、色っぽい声やなぁ。
せ、背中がゾクゾクするんですけど。
夏風邪やろか?
「呼んで」
へっ…な、何?
あ、あぁ、下の名前…
「わ、わ…」
あかん、緊張してきた。
指の動きが…
「わ、渉君」
「うん。君はいらん」
「わ、わたる」
「うん」
私にキス!
「委員長」
「私も委員長って名前とちゃうよ。 ちゃんと名前で呼んで…」
「み…美桜」
「はい…」
――
―
※Fin*