雨宿り
「渉く~ん、どうしたん?元気ないね。同点やしかまへんやん」
「言う事聞いてもらえへんやん」
そんな事かいな。
「何、聞いてもらお思たん?」
「……」
上目遣いで見てくる。
「な、何?」
「勝ったらな」
「うん」
「美桜にな」
「うん」
「……」
なんや声が小さいし、顔が赤なってるで。
「弁当」
「お弁当?」
「うん。弁当を作って欲しいなと思うて」
「……」
「期末テストで、も一回勝負させて下さい」
「……」
「……」
「み、美桜」
「そ、そんな事でええのん?」
「へっ?」
「渉く~ん」
もう、もう、ほんまにもう、
コイツの頭を抱き寄せて
ナデナデして
「もう…」
「な、何?ど、どうしたん?」
真っ赤になって私から離れようとするのを
ギュッと抱きしめ
「可愛いなぁ~渉君は」
「へっ?か、可愛いって」
渉の耳元で
「お弁当くらい毎日作ったげる…勝負せんでも」
「へっ…ほんま?」
「うん」
「その代わり」
「えっ?」
「お弁当の数だけ…キスしてな」
「……」
「……」
※Fin*