ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「事の経緯(イキサツ)はわかったんだけどさ、例のファイルの中身が、俺はとっても気になるんだよね」


余りにでっかい言い忘れをしているこのウッカリさんに、それを指摘してやると、


「いいところに気付いたな、美少年」


と、からかうように言って笑う。



「『いいところ』でも何でもねぇし。それから、その『美少年』ってのもやめろ。血気多感な思春期なんか、とうの昔に通り過ぎたしね」


「そのキュートなやんちゃぶり、俺はてっきり思春期特有の反抗期かと思ったんだけどな」


この落ち着き払った態度が癪に障る。ムカつくよ、マジで。



「見るか?」


窪田はそう言って、身を翻して俺に背を向け、会議室の端にあるパソコンの方へと移動した。

くわえタバコで、いつの間に手にしていたのか、『例のそれ』らしいディスクをケースから取り出し、起動したままになっていたパソコンに挿入した。


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