吸血鬼は蒼い月夜に踊る
「そうか……それは残念だ」


ゾクリと男の全身に寒気が走った。

ディーノを包む空気が冷たさを加速し、身も心も凍り付いたけれど遅かった。


「去れ……」


甘い囁きと同時に男の意識はぷっつりと闇に閉ざされた。

レディの銀色に輝く刀身がぐっつりと男の頭を貫き、躊躇することなくディーノはその剣先をグリッと半回転させた。

刹那、弾けるように男の身は黒い霧と化し、残ったのは静寂とさめざめとした凍てつく風の囁きだけだった。


「まいったね、月(マザー)」


ヒョイッと肩に銀色の剣を担ぐと、空に浮かぶ大きな蒼い月を見上げディーノは苦笑した。


「服が汚れてしまったよ」


ゆっくりと歩きだす美貌の青年の汚れのない背を優しく押し撫でるように、ただ蒼い月はそこに浮かび、彼の行く道を照らしだしていたのだった。
< 31 / 31 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ひまわり

総文字数/290

詩・短歌・俳句・川柳4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ひと夏かぎりのボクの恋人…… 愛しい 愛しい ボクの恋人…… それはキミ
愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

総文字数/148,021

恋愛(ラブコメ)282ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
★香椎毅臣(かしいたけおみ)25歳。 冷静沈着、物腰柔らか。 得意技は女子を瞬殺する ニッコリキラースマイル。 ★綾渡セリ(あやどせり)18歳。 容姿端麗、才色兼備。 表は完璧なお嬢様だけど、その仮面をはめることに疲れを感じてた。 「お嬢様、どうぞお手柔らかに」 ある日、現れた私専属執事様。 挨拶が『キス』ってなに――!? 「っていうか、詐欺じゃん!!」 ヒツジの皮を被ったオオカミ、ここに参上!?
表紙を見る 表紙を閉じる
オレ、天林寺真理矢16歳。 中肉中背。 とりあえずこれといった特技も特徴もない、至って普通の高校男子。 だったんだけど……ある日、突然やってきた大天使ミカエル様にこう告げられた。 『おまえは聖母マリアの生まれ変わり。 これから寝食をともにし、悪の軍団と戦うのだ』 と―― ちょちょちょちょっと待ってってば!! それってムチャぶりっしょー!! ★☆★☆★☆★☆ 聖男子マリア様 本編第二弾 ここに参上!!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop