眠り姫はひだまりで


「………もうちょっと、寝てていいよ。僕、作業に戻るね」

「あ…うん。ありがとう」

大和が、席を立つ。

あたしはそれを、黙って見ていた。


「じゃあ澪、色葉をよろしくね」


「…ん。大和も、作業頑張って」

そうして、大和は保健室を出て行った。

色葉のほうへ振り返ると、ぽかんと口を開いてあたしを見ていた。

「ん?」

「あ…な、名前で呼び合ってたから」

…ああ。

「まぁ、ね。ちょっと、つながりができたものだから」

ふふ、と笑うと、色葉は不思議そうに首を傾げる。


…この愛らしいお姫様の恋を、見守らないと。

あたしはあたしで、お姫様って柄ではないけど。

恋を、進めて行こうかな。

このお姫様も、応援してくれていることだし。


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