眠り姫はひだまりで
「じゃあ、そちらのクッキーを頂こうかしら。孫と一緒に食べましょ」
お金とクッキーを交換すると、おばあさんは大事そうにクッキーの包みをもって、微笑んだ。
「ありがとう。とっても美味しそうだわ。いただくのが楽しみ。じゃあ、頑張ってね」
…わ、なんか…。
頭を下げるおばあさんに、売り子みんなで『ありがとうございました』と言った。
「……………」
お客さんがいなくなって、しんとする。
売り子の子達みんなで、顔を見合わせた。
「…な、なんか、楽しいかも」
「うん。おばあさん、すっごい優しかったし。なんか、やばい」
「わかる…」
みんな、同じ気持ちだった。
私も、おばあさんが去って行ったあとを、静かに見ていた。
…将来、自分がどうなるかなんて、想像できないけど。
でも、純粋に楽しいと思った。
おばあさんが、お客さんが笑ってくれて、嬉しいと思ったんだ。