眠り姫はひだまりで
 

いかにも楽しそうに笑うミオを、ムスッとして睨みながら、おにぎりを食べ終わる。


「お弁とー完食ー………じゃあ行ってくるねぇ」


「歩きながら寝るなよぉー?」

はは、と笑うミオ。


イヤ……寝る。

もう既に席を立った状態で、かくんかくん首が揺れてるんだもん………

 
「癒し姫~おねむですかぃー?危ないからちゃんと起きて歩きな~」


葉くんの声だぁ…………

 
「分かってるよぉ~………でもまぶたが開いてくんないんだよ~」

 
がんばって目を開けてみても、すぐまた落ちてくるまぶた。


あ~……ダメだ、こりゃぁ……


「どこまで行くの?」


また葉くんの声。


「……言ってどーすんの………?」


「そこまで連れて行ってやろーか?」


「えー………」


………どーしよ。

『資料室まで』って言ったら………ヤバイよね。


「んじゃぁ……お言葉に甘えて……調理室までお願いします……」

 
調理室は、資料室の横の角を曲がったとこにある。

そこから自分の足で歩けば大丈夫……。


 「りょーかい」

 

 
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