月の骨
「何も考えてなかった。」
元々、復讐のためだけに始めたことなので、それに失敗した今、続ける理由はなかった。
それに。
「僕みたいな危険人物を雇い続けるつもりなのか?」
そう言うと、山城は隈だらけの目を細めて力なく笑った。
「だよなぁ。
まぁ、落ち着けとも言えないし、復讐を止めろとも言えない。
ただ、純粋に仕事がしたくなったらいつでも言ってくれ。それと……。」
山城は持っていたカバンを漁り、見覚えのある茶封筒を渡してきた。