十五の石の物語

(……無礼な娘だ…)

非常に不愉快な気持ちを感じ、私はサリーを放って先を急いだ。



(こんな娘のこと等考えてやることはなかった。
野宿でも何でも好きにするが良い!)



「どうしたのさ、レヴ!待ってよ〜!」

私はは答える気にもなれず、歩みを緩めることもなく、足早に歩き続け、ちょうど目についた一本の大きな木の根元に腰を降ろした。



「もう〜っ!待ってって言ってるのにぃ〜!」

息をきらせながらサリーが駆けつけ、文句を言いながら私の横に腰を降ろした。
私はその瞬間、少し脇へ離れ、サリーとの間隔を広げた。



「……ふぅ〜ん…ご機嫌斜めなんだ…」

私は黙ってその場に横になり、バッグを枕にしてサリーに背を向けた。



「……ま、いいけど。」

サリーのその吐き捨てるような口調に、私はまた気分を害された。
アマゾナイトの指輪を手に入れてから、全くろくなことがない。
すべての始まりはこの指輪からだ…
私は憎々しげに指輪をみつめた。

しかし、そんな気持ちとは裏腹に、その指輪を見ていると、私の心は不思議と落ち着いた。



(……考えてみれば、この娘にとっても気の毒なことだな。
こんな薄ら寒い中、得体の知れない男と野宿につきあってくれているのだから…
何の関わりもない男のために、この先どうなるともわからない旅につきあってくれているのだからな。)

つまらないことで、子供じみた真似をしたことを謝ろうかとも思ったが、そのきっかけがうまくつかめない。
サリーは寝ているのか起きているのかわからないが、黙っている。
こんなにすぐに寝付けるわけもないから、きっと私と同じように気分を害して黙っているのだろうが、どうしたものか…?

私は考えあぐねて、ふと空を見上げた。
美しい月が浮かぶ夜空を…
月は穏やかに微笑んでいるようにも見える。
そのまわりには無数の星が煌めく…

私は昔から宇宙(そら)を見上げるのが好きだった。
星々の伝説や神話を聞くのが好きだった。
そんな昔を思い出しながら、私はぼんやりと空を眺め続けた。



「あっ!!」

その時、私は不意に見つけた。

空に輝く十字の道標を…!
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