お兄さんと【完】

手は星くんに押さえられちゃってるから、せめて顔だけでも窓側にそらしてみる。


「俺のこと、嫌い?」


その不安そうな星くんの言葉に、私は精一杯首を横にブンブンと振る。


「そんなこと、全然ないもん!!」


手首をつかまれたままだった温かい手が離された。


「それなら、よかった。」


ちょっと戸惑いながらも、星くんの方を見ると、いつも見せてくれる笑顔があった。


「稀那ちゃんはこれからも、今まで通りでいてよ。」


その言葉が上手く理解出来なくて、どう返事をしていいのか迷っちゃう。


「背伸びしなくても、無理しなくても、そのままの稀那ちゃんが俺は好きなんだから。」


他の言葉なんて頭に入ってこないまま、好きって言葉だけが頭に入ってきちゃった。
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