お兄さんと【完】

おろおろとこっちゃんにすがりつくしか出来ない私に、こっちゃんは一瞬黙り込んだ。


「あー。あれ、か。」


「?」


なにか思い出したようなこっちゃん。


ちょっと待って!!


『あれか』ってな、何!?


本当に私は自分で気づかないうちに、かずちゃんのこと傷つけちゃってたの??


「そんじゃ今日は裏庭行くぞ、きなこ。」


私が戸惑っているのもおかまいなしに、お弁当を持たされて中庭へ。


中庭はやっぱりまだ寒空の下。


当たり前だけどそんな中庭には生徒誰一人いなかった。


「うわっ、マジさみぃ。」


半ば強引に引っ張ってきたこっちゃんがそれを言いますかっ!
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