紺色夜話
一つの夜
紺色の空から細い細い雨が音もなく降り注ぐ夜の事でした。




午後7時すぎの、帰宅や遊びなど目的も様々な人々の歩く間を、残業帰りの月森銀子(つきもり・ぎんこ、29才、OL)は急いでいました。




天気予報でも降らないと言っていた雨に足早な人々の中、晴れだろうと雲だろうといつも傘を持っている銀子は悠々と歩いています。




そして目当てのお店に着くと雨を払い、傘を持ったまま入って行きました。




『藍星』という名のこのお店は、雰囲気のわりといいバーです。




銀子は、ここに来るのは二度目でした。




最初は職場の飲み会の二次会で来たのです。
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