わたしだけを見てほしいのに
「やだ。やめて!」

私は
気づいたら悠斗くんのみぞおちを
思い切り蹴り上げていた

「痛っ!」
「・・・ごめんっ。」

自分のした事に驚いた

急いでベッドから起き上がると
首の周りにフワッと
自分の髪の毛がやさしい感触で触れた
急いで制服のボタンをかけ直す

「もう、無理だよ。
私だけを見てくれる人じゃなきゃ嫌。」
「なんで、俺が本当に好きなのは
香乃子だよ。」
「もう、嘘つかないで!」

私は

お兄ちゃんのギターを抱えて
部屋を
飛び出していた
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