わたしだけを見てほしいのに
野球部のかけ声。
下校する生徒たちの声。
木々はもう、茶色い葉を落としていた。

「お礼が言いたくて。」
「は?なんの?」

直樹くんが
笑って私の顔を見る。

「この間もあの偶然会った時も
直樹くんにいっぱい勇気もらったから
自分の気持ちと向き合えたと思うの。
ありがとう。」
「別に。
お前自分で頑張ったんじゃん。」

私はちょっと恥ずかしくなって視線を
下に落とした。
チェックのスカートからのびる足は
相変わらず太いけど
みずみずしくてつやつやしていた。


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