- π PI Ⅱ -【BL】


―――周………


「無事で良かった。無事で―――」僅かに震える手で力強く抱きしめられ、


それでも


「お前のお陰で陣内を逮捕することができた。ありがとな」


温かい言葉と、同じだけ熱が籠った温度で―――周は俺をぎゅっと抱きしめ、


俺も夢中で周を抱きしめ返した。



どれぐらいそうやって抱き合っていただろう…


ふと顔を上げると、三好がちょっと悲しそうにこっちを見つめていて、俺は慌てて周を押しのけた。


「三好――……」


三好はちょっと苦笑すると、ポケットに手を突っ込みながらぶっきらぼうに苦笑を笑顔に変えた。


「お前が連れて行かれて、どうなってるのか気になって警察署に慌てて出向いたんだ。そしたらその刑事さんにことの全容を教えられてさ」


と、ちょっと周を見る。


「俺のIDを見つけてくれたの、三好だったんだろ?ありがとな」


「……うん。…ううん、いいよ。気にするな」


ぎこちなく笑って三好は顔を上げた。本題に入ろうとしているようだった。


「…あのさ、お前その刑事さんと結婚してるの?」


俺は三好の言葉に、周と顔を見合わせた。


「―――うん。ごめん、黙ってて。って言っても日本では認められてないし、結婚式だけはアメリカでしたけど、戸籍上では桐ヶ谷だよ。って言い訳になんねぇか」


自嘲じみた笑みを漏らすと、


「まぁ言いにくいのは確かだよな」と三好も僅かに笑った。


「まぁびっくりしたけど―――今は羨ましいって気持ちかな」




羨ましい―――……?





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