- π PI Ⅱ -【BL】


それでも何とか弁当を食べ終えると、俺は近くの喫茶店に移動してコーヒーを飲むことにした。


行き付けの喫茶店は半分がオープンカフェになっていて、小洒落た造りになっている。


その奥でコーヒーを飲みながら、俺は日曜日のデートのことを考えていた。


周と外でデートって初めてだ。


何着ていこう。なんて、ワクワクしてまるで女子高生チックな考えを浮かべていると、


「桐ヶ谷。偶然♪お前も休憩?」と同期だが部署が違う三好(Miyoshi)に声を掛けられた。


三好とは同期だが、住んでた場所も近くて俺たちは何かと気が合った。


「よ。お疲れ」


「お疲れー。なぁお前今度の日曜暇??合コン来いよ」と勝手に俺の隣に腰掛けながら、三好は開口一番に言った。


「は?合コン??行かねぇし」


「何でよ。お前経理の宮下さんとは別れたんだろ?それともまだ引きずってるとか…?」


三好は言いにくそうに口を濁らせた


宮下 比奈(俺の元カノ)は―――経理の課長補佐と二股かけていた挙句、横領にまで手を出していた。


比奈の犯行を突き止めたのは―――言うまでもなく、周だ。


その噂はあっという間に社内に広まり、当時はあれこれ同情されたり興味をもたれたりで鬱陶しかったが、最近では落ち着いている。


「俺、新しいのできたから」


“彼女”とは言えなかった。





だって相手は―――男だから!!



比奈にフられた上、男に走ったと知れたら俺が築き上げてきたものは崩壊だ!





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