- π PI Ⅱ -【BL】


――――


あれからどれぐらい経っただろう。


あまりの痛みで起き上がれず、鈍い痛みの中意識が遠のきそうになっては、俺はそれを必死になって手繰り寄せていた。


このまま眠ってしまえば全て忘れてしまえる?できればそうなりたい。


最初から周の存在がなかったように。



そう思う一方―――




でもそれだけはイヤだった。




あんなに近くで感じていた周の香りはいつの間にかなくなっていて、


寒々とした風が俺のむき出しの肩や心の中を冷たく吹き抜けていく。


ご丁寧にもあいつが肩まで布団を掛けていってくれたお陰で、風邪を引くことはないだろうが。


ふいに誰かに髪を触れられて、


「ヒロ、大丈夫―――……?」と遠慮がちな声が聞こえてきた。


ぼんやりと目を開けると、滲んだ視界に周の姿が…


「周……」


僅かに手を伸ばすと、周の手が俺の手をそっと握った。


ひんやりと冷たい手―――


上品な大人の香り……





周―――…じゃない……



俺は、はっとなって目を開けた。



「刹那さん―――…」



俺の髪を撫で、覗き込んでいたのは―――周と良く似た




刹那さんだった。




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