きみ、ふわり。


 就職か進学かだけでも決めろと詰め寄られ、取り敢えず『進学』と適当に答えてようやく解放して貰った。

 本当に面倒臭い。

 未来も過去も俺にとってはどうでも良いことだ。

 ただ、『今』を生きる。
 それだけで精一杯。



 紗恵は2年1組。
 特別進学クラス、通称『特進』、ボケボケ天然少女だというのに勉強は出来るらしい。

 人間の能力って本当に神秘的だ。


 今日は遅くなるから先に帰ってとメールで伝えたけど、紗恵は待つと言って聞かなかった。

 そういう所、本当に頑固だと思う。


 帰宅してから改めて会えば良いだけの話なのに。
 少しでも早く俺に会いたいから、と紗恵は言い張った。

 嬉しいけどね、内心。


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