きみ、ふわり。


 そろそろ起こさないとまずいかな。
 あと10分程で、琉佳たちが帰って来る。


 俺たち全裸のままだし。
 布団は被っているけれど、もしこの状態を女に目撃されでもしたら、きっと大騒ぎになる。

 俺の部屋だったら何も問題はない。
 けど、ここは親父とあの女の部屋だ、しかも寝室。

 巧い言い訳なんか思い浮かばない。
 言い逃れは不可能だ。


 ピロリロと。
 甲高い機械音が鳴り響き、慌ててベッドから身を乗り出して、床の上に脱ぎ捨ててあった制服の上着を掴み上げた。

 そのサイドポケットからブルルと震える携帯電話を取り出して耳に当てた。

 気になって盗み見れば、今ので目を覚ましてしまったらしく紗恵はムックリと起き上がった。


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