きみ、ふわり。


「『紹介しようか?』って言われた」

「まじ? やったなぁ、瀬那くん」

「アホ、丁重にお断りしたわ」

「うっわ、勿体なっ!
 瀬那くん、選り好みしてる場合じゃないでしょ?
 そのうちタマ破裂するよ?」

「ふぜけんな。
 その前に自分で出すわ」

 悠斗は「寂しー、泣ける」などと言いながらも、クツクツ喉を鳴らして笑った。


 けれど、不意に真顔になって、

「栗重は?
 お前ら、結構仲いいじゃん」

 唐突に、そんなとんでもないことを真面目くさった口調で言う。


「冗談はやめチクビ。
 全然笑えねぇ」

 ほんの少しムッとして返せば、

「お前のその変な語尾の方がよっぽど笑えねぇし」

 言って悠斗は目を細め、冷ややかな視線を俺に寄越した。


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