きみ、ふわり。


 三度目に飲み物を取りに行った時にはもう、栗重たちは居なかった。



 悠斗とくだらない話をしているだけで、時間は刻々と過ぎていった。

 
 ピリピリと悠斗の携帯電話が甲高い音を鳴らして着信を告げ、画面を確認した悠斗は「栗重だ」とボソリと呟いて電話に出た。

 お前らいつの間に番号交換したんだよ? と。
 ちょっと面白くないのは何故だろう。


「ん……全然。
 は? ああ、まだ一緒」

 電話での愛想のかけらもない応対は、女子に対しても同じらしい。

 そんなどうでも良いことを思いながらも何となく見ていたら、悠斗はおもむろにその携帯電話を俺に向かって差し出して、「お前に替われって」と、不思議そうに微かに首を傾げて言った。


 理由もなく胸騒ぎがした。

 受け取りたくなかった、心のどこかが拒否していた。


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