スピカ
第8章 動くこころ
 すっきりしたような、……していないような。
それでも時間は過ぎていって、あたしを待ってくれるものなんてない。

無事に年も明け、とうとう蛍姉は家を出て行ってしまった。あまり帰って来なかったとは言え、全然変わらないと言えば嘘になる。

玄関の靴。
いつも綺麗なテーブル。
減らないチョコレート。
向かいの部屋。

今までとは違う。
蛍姉がいるこの家で18年間も過ごしてきたのだから。やっぱり、寂しい。

だけど。
今のあたしが孤独を感じなくなったのは、紛れもなく楸さんのお陰だ。
あたしには家族がいるし、亞未も、楸さんも、今はいる。

たったそれだけの事だったのに、どうして今まで怖がっていたのだろう。謎っていうのは、解けると案外簡単なもので。

何だか、変な感じ。


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